萬福寺

たてもの探訪Ⅴ(拾遺38) 2024年10月18日公開

島根県益田市 訪問:2024年9月


◆れきし

 時宗道場・本尊阿弥陀如来。前身は平安時代に、益田川河口付近に建立された安福寺(天台宗)。南北朝時代に時宗の道場となり、応安7年(1374)、第11代兼見がこの地に移築して「萬福寺」と改称し、益田氏の菩提寺と定めました。

 文明11年(1479)、第15代兼堯(かねたか)が雪舟を招いて造らせたのが、現在の石庭です。

◆見どころ

 現在の本堂は、応安7年に兼見が建立したもので、昭和9年に解体修理されました。棟札や関連資料が伝わっていて、「穏静簡古」と称される端正な趣。

 この本堂裏に築庭されたのが、須弥山世界(仏教の世界観)を象徴した石庭。その明るく伸びやかな作風は、雪舟庭園のなかでも類が少ないといわれています。室町時代の本堂と庭園を一体としてみることができ、まさに「中世のまち・益田」へ誘われるような気持になります。


解説図:益田市観光協会パンフレット『こころで観る雪舟の庭』より