紀三井寺

たてもの探訪Ⅴ(拾遺41) 2025年01月30日公開

和歌山市 訪問:2025年1月


◆れきし

 紀の川河口南部にある名草山の中腹に、奈良時代末の宝亀元年(770)、唐僧・為光上人によって開基されました。本尊は平安時代作の十一面観音と千手観音です。

 平安時代末期には後白河法皇が勅願所と定め鎌倉時代には隆盛を極めますが、豊臣秀吉の紀州征伐によって一時衰退。その後は、紀州徳川家の援助で寺勢を回復し、西国三十三観音の第2番札所として、庶民にからも篤く信仰されました。

 参道正面、三間一層入母屋造の楼門は永禄2年(1559)の修理(重要文化財)。ここから長い石段を上ると、鐘楼・本堂、そして一段上に多宝塔が配されています。本堂は宝暦9年(1759)再建、鐘楼は安土桃山時代の建立(重要文化財)、多宝塔は文安6年(1449)の建立(重要文化財)。

◆見どころ

  「三井寺」の名の由来となった三カ所の湧水があります。境内からは広く和歌浦や紀伊水道、遠方に四国や淡路島が見渡せ、紀伊聖地めぐりの入り口として、深い趣きを感じることができます。