般若寺

たてもの探訪Ⅲ(大和30) 2025年01月31日公開

奈良市 訪問:2025.01.30


◆れきし

  大和と山城をむすぶ古道、「奈良坂」に沿って営造。寺伝では、飛鳥時代に高句麗僧慧灌によって開かれ、奈良時代に聖武天皇が平城京の鬼門守護のため、『大般若経』を納めて卒塔婆をたてたのが始まりとしています。

 治承4年(1180)、平家による南都攻めにあい伽藍が灰燼に帰した後、真言律宗の西大寺叡尊上人によって復興され、丈六の文珠菩薩が祀られて信仰の中心となりました。

 ◆見どころ

 「奈良坂」に西面する鎌倉時代の楼門が国宝。また鎌倉時代の本尊文殊菩薩騎獅像、経蔵、十三重石塔、笠塔婆、石燈籠が重要文化財に指定されており、往時のさかんな様子をしのぶことができます。

 室町・戦国時代に再びの大きな兵火に遭いますが、そこから再興された江戸時代の本堂や、奇特者の寄進による西国三十三所観音石仏も含めて、貴賤をとわず深い信仰のもとで受け継がれた歴史を想わずにはいられません。幾多の艱難を乗り越えた境内は、四季折々の「花の寺」として親しまれています。