和歌浦天満宮

たてもの探訪Ⅴ(拾遺43) 2025年02月01日公開

和歌山市 訪問:2025年1月


◆れきし

 社伝では、菅原道真が大宰府へ赴く途中、風雨を避けてこの地に逗留。その時地元の漁民が艫綱を巻いて急ごしらえの座を作ってお迎えしました。この故事を偲んで、文章博士橘直幹が御心霊を勧請したのが始まりと伝えられています。

 現在の社殿は、紀州の領主となった浅野幸長が慶長9年(1609)年ごろから造営を始め、同11年に完成したものです。

 長い階段を登ると、楼門と東西回廊、その奥に桁行5間の檜皮葺、入母屋造・正面千鳥破風付向拝のご本殿。社殿全体に彫刻と彩色が施され、桃山様式の絢爛豪華な造りとなっていて、末社を含めて重要文化財に指定されています。

◆見どころ

 この社殿の大工は、紀州根来出身の塀内吉政・政信親子。後に江戸幕府の作事方大棟梁になった親子で、その非凡な力量が発揮されています。境内からは、片男波海岸、布引海岸、和歌浦湾、紀伊水道、四国を望むことができ、後に広く普及する「綱敷天神」(道真肖像画の一様式)の故事を物語る由緒深い天満宮です。